桜那恵のコラム 甘夏ためつすがめつ

皮をむいて実そのものを味わう以前に、

何か言えることがあるかもしれない。

未熟で、分かることなんてひとつもないけれど、

甘夏をひんやり握る、

このおもたさを味わう、

顔を寄せて匂いをかぐ、

ことなら少し、できる。

バナーデザイン 河野唯 instagram @kwn__y

群青 桜那恵のコラム 甘夏ためつすがめつ 2こめ

「出会うことを恐れすぎてた」

この写真集を開いてまず思ったことはこうだった。

とても上手い写真があなたの目の前にあります。構図や光の入り具合、並ぶ順番も抜かりない。その作風は昨今のニーズにも合っているようです。

でもなんで?今の私にはまったく響いてこない。

そういう写真は、私の内奥にまで触れてくるものよりずっと多い。当たり前である。しかし焦ってはいけない。

写真とは波長が合うかどうか、これに尽きるのではないでしょうか。

波長が合うあの心地よさ。ああだから出会ってしまったのか。出会ってしまったから波長が合うのか。私は出会うことを恐れすぎていたのだ。

あなたがそこで写真を撮っていてくれてよかった。

YONA Megumi

 

群青 松木宏祐/2017

 

セルフアンドアザーズ 桜那恵のコラム 甘夏ためつすがめつ 1こめ

私がいいなと思う写真は、あ、この人は写真でなければならないのだな、と感じられる写真です。

これは詩だったり、小説だったり絵画でも何でも言えるのだけれども、他でもない写真でなければならなかった!という写真家の撮る写真は、かなりくるものがある。それが稚拙であれ、未完成であれ、例え夭折であっても。

 

彼は写真を撮るしかない。

 

それはやがて鋭い直感、技術だったりに必ず導かれる。私のような物書きの端くれはそう信じてやまない。

YONA Megumi

 

 

 

 

SELF AND OTHERS/2000 未来社

 

牛腸茂雄全集/2022 赤々舎