昔コーヒースタンドでアルバイトをしていた時、ラテアートの練習と謳って、牛乳を一日一本泡立ててはシンクに流し、練習していた日々があった。
その時私は「こういうものなんだ」と思ってそれ以上考えることをやめたけれど、今思えばあれは、何か物凄いことが起こっていた。私は少しずつラテアートが出来るようになっていった。
きっかけはひょんなことだったけれど、いつからか動物性の食べ物をなるだけ摂らないようになった。牛乳が豆乳になって、ソーセージがちくわになった。魚と鶏卵はありがたく戴く。ペスカタリアンというらしい。今日まで、あの日の後ろめたさを私はどこかで感じ続けていたのかもしれない。
-人間が動物を利用することを否定しない 植木美希
その広さや繋がり、網目の際限のない大きさに、私はふと畏敬する。
ときどき恐れおののいて、じゃあどうなるんだろうこのままじゃこの星は、と思って私が一週間溜めたプラスチックごみの量に閉口する。
もう考えない方がめんどくさいなと思う。
―じつは「動物福祉」は、そのような人間の感情に左右されず、人間の保護管理下にあるすべての動物に快適な環境を与えましょうという考え方です。 町屋奈
この本は「ヴィーガンになれ」とか「ペットを飼うな」とか言ってるんではありません。
いつか見たテレビで、タクシーの運転手をしていた黒人の女性が「子どもが生まれて、私は夢や学校を諦めたけれど、今はこの職場が学校なの」と多分こんなようなことを言っていて、すごくいい表情をしていたことをいま思い出した。
お肉を食べるのが好きな人、動物と一緒に暮らしてる人、そうでない色んな人に、この本を読んで欲しい、そう思いました。
スモークブックス店頭でも販売中。
*出演 ふくっくるー by めがてんあにまるず
Photo by Masumi Kuba
植木美希 田中亜紀 町屋奈
2024/工作舎