溺れる 川上弘美

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少し前から、逃げている。

一人で逃げているのではない、二人して逃げているのである。

逃げるつもりはぜんぜんなかった、逃げている今だって、

どうして逃げているのかすぐにわからなくなってしまう、

しかしいったん逃げはじめてしまったので、

逃げているのである。(本文より)

 

こういう文章が味わえるようになった気がする。

川上弘美の<センセイの鞄>を読んだのは、

まだ20代の頃だった。

好きな感じはしていたけど、味わえなかった。

30歳を過ぎた今<溺れる>を読んで、

味わえるようになった気がする。

人によるのかもしれないけど。

 

 

川上弘美 溺れる

文春文庫 2005年第9刷

解説 種村季弘

装丁 大久保明子

 

古書¥300(税込)